いわき市水道事業経営比較分析表
目
次
頁
事業概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2
1 経営の健全性・効率性・・・・・・・・・・・ 3
① 経常収支比率・・・・・・・・・・・・・ 3
② 累積欠損金比率・・・・・・・・・・・・ 4
③ 流動比率・・・・・・・・・・・・・・・・ 5
④ 企業債残高対給水収益比率・・・・・・・・ 6
⑤ 料金回収率・・・・・・・・・・・・・・・ 7
⑥ 給水原価・・・・・・・・・・・・・・・・ 8
⑦ 施設利用率・・・・・・・・・・・・・・・ 9
⑧ 有収率・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10
2 老朽化の状況・・・・・・・・・・・・・・・・ 11
① 有形固定資産減価償却率・・・・・・・・・ 11
② 管路経年化率・・・・・・・・・・・・・・ 12
③ 管路更新率・・・・・・・・・・・・・・・ 13
3 分析の全体総括・・・・・・・・・・・・・・・ 14
事業概要
平成26年度決算
業務名 業種名 事業名 類似団体区分
地方公営企業法の
規定の全部を適用 水道事業 末端給水事業
都道府県・指定都市を除き
30万人以上
資金不足比率[%] 自己資本構成比率[%] 普及率[%] 1月20㎥あたり家庭料金[円]
―
61.74
97.18
3,661
人口[人] 面積[㎢] 人口密度[人/㎢]
333,802
1,232.02
270.94
現在給水人口[人] 給水区域面積[㎢] 給水人口密度[人/㎢]
315,224
466.03
676.40
1
経営の健全性・効率性
①
経常収支比率
【算出式】
経常収益 / 経常費用 × 100 = 経常収支比率[%] 【説明】「経常損益」
経常収支比率は、給水収益や一般会計からの繰入金等の収益(経常収益)で、維持管理費や支
払利息等の費用(経常費用)をどの程度賄えているかを表す指標です。
単年度の収支が黒字であることを示す100%以上になっていることが必要です。 【分析】
経常収支比率は100%以上を維持しており良好です。
平成23年度は東日本大震災の影響により減少しましたが、分析対象期間(平成22~26年度)
を通じて類似団体平均値よりも高い状況です。
グラフ凡例
■ いわき市の比率(当該値)
- 類似団体平均値(平均値)
経常収支比率(%)
「
経
常
損
益
」
平成26年度全国平均値
【113.03】
②
累積欠損金比率
【算出式】
当年度未処理欠損金 / (営業収益―受託工事収益) × 100 = 累積欠損金比率[%]
【説明】「累積欠損」
営業収益に対する累積欠損金(営業活動により生じた損失で、前年度からの繰越利益剰余金
等でも補塡することができず、複数年度にわたって累積した損失のこと)の状況を表す指標で
す。
累積欠損金が発生していないことを示す0%であることが求められます。
【分析】
累積欠損金は発生していません(分析対象期間を通じ0%)。
グラフ凡例
■ いわき市の比率(当該値)
- 類似団体平均値(平均値)
累積欠損金比率(%)
平成26年度全国平均値
【0.81】
「
累
積
欠
損
」
③
流動比率
【算出式】
流動資産 / 流動負債 × 100 = 流動比率[%]
【説明】「支払能力」
短期的な債務に対する支払い能力を表す指標です。
1 年以内に支払うべき債務に対して支払うことができる現金等がある状態を示す 100%以上 であることが必要です。
【分析】
流動比率は100%以上を維持しており良好です。
類似団体平均値と同様に400%を超える程度で推移してきましたが、平成26年度は会計制
度改正(1年以内の企業債償還金が流動負債とされたこと)により、ほぼ半減しています。
グラフ凡例
■ いわき市の比率(当該値)
- 類似団体平均値(平均値)
流動比率(%) 平成26年度全国平均値
【264.16】
「
支
払
能
力
」
④
企業債残高対給水収益比率
【算出式】
企業債現在高合計 / 給水収益 × 100 =企業債残高対給水収益比率[%]
【説明】「債務残高」
給水収益に対する企業債残高の割合であり、企業債残高の規模を表す指標です。
明確な数値基準はないと考えられます。
【分析】
企業債残高対給水収益比率の明確な数値基準はありません。
企業債残高の縮減に努めており、震災により給水収益が減少した平成 23 年度を除き、数値
は減少を続けていますが、類似団体平均値より、なお高い状況です。
グラフ凡例
■ いわき市の比率(当該値)
- 類似団体平均値(平均値)
平成26年度全国平均値
【283.72】 企業債残高対給水収益比率(%)
「
債
務
残
高
」
⑤
料金回収率
【算出式】
供給単価 / 給水原価× 100 = 料金回収率[%]
【説明】「料金水準の適切性」
給水に係る費用が、どの程度給水収益で賄えているかを表した指標であり、料金水準等を評
価することが可能です。
供給単価と給水原価との関係を見るものであり、料金回収率が 100%を下回っている場合、 給水にかかる費用が給水収益以外の収入で賄われていることを意味します。
【分析】
料金回収率は100%以上を維持しており、水道料金水準は適切といえます。
平成 23 年度は震災の影響により一時的に減少しましたが、期間を通じて類似団体平均値よ
りも高い状況です。
グラフ凡例
■ いわき市の比率(当該値)
- 類似団体平均値(平均値)
料金回収率(%) 平成26年度全国平均値
【104.60】
「
料
金
水
準
の
適
切
性
」
⑥
給水原価
【算出式】
{経常費用―(受託工事費+材料及び不用品売却原価+附帯事業費)―長期前受金戻入} / 年間総有収水量 = 給水原価[円]
【説明】「費用の効率性」
有収水量1㎥あたりについて、どれだけの費用がかかっているかを表しますが、明確な数値
基準はないと考えられます。
【分析】
給水原価の明確な数値基準はありません。
中小河川への依存や広域で起伏に富む地勢から、多くの水道施設を抱えているため、類似団
体平均値よりも高い状況です。
グラフ凡例
■ いわき市の値 (当該値)
- 類似団体平均値(平均値)
給水原価(円) 平成26年度全国平均値
【164.21】
「
費
用
の
効
率
性
」
⑦
施設利用率
【算出式】
一日平均配水量 / 一日配水能力 × 100 = 施設利用率[%]
【説明】「施設の効率性」
一日配水能力に対する一日平均配水量の割合であり、施設の利用状況や適正規模を判断する
指標です。
明確な数値基準はないと考えられますが、一般的には高い数値であることが望ましいとされ
ています。
【分析】
施設利用率は配水能力に対する配水実績の割合ですが、明確な数値基準はありません。
同規模団体平均値よりも低い状況にありますが、平成 23 年度は震災による漏水、その後は
原子力災害による避難者の流入に伴う使用量の増や小規模浄水施設の廃止などがあり、震災前
よりも高い水準にあります。
グラフ凡例
■ いわき市の比率(当該値)
- 類似団体平均値(平均値)
施設利用率(%)
「
施
設
の
効
率
性
」
平成26年度全国平均値
【59.80】
⑧
有収率
【算出式】
年間総有収水量 / 年間総配水量 = 有収率[%]
【説明】「供給した配水量の効率性」
施設の稼動が収益につながっているかを判断する指標です。
100%に近ければ近いほど施設の稼働状況が収益に反映されているといえます。
数値が低い場合は、水道施設や給水装置を通して給水される水量が収益に結びついていない
ため、漏水やメーター不感などの原因を特定し、その対策を講じる必要があります。
【分析】
有収率は100%に近いほど施設の稼働が収益につながっていることを表します。
毎年、有収率を上げるための漏水対策に取り組んできましたが、平成 23 年度は震災の影響
により75%程度まで下がりました。その後、対策を強化していますが、震災前の水準には戻っ
ていない状況です。
グラフ凡例
■ いわき市の比率(当該値)
- 類似団体平均値(平均値)
有収率(%) 平成26年度全国平均値
【89.78】
「
供
給
し
た
配
水
量
の
効
率
性
」
2
老朽化の状況
①
有形固定資産減価償却率
【算出式】
有形固定資産減価償却累計額 / 有形固定資産のうち償却対象資産の帳簿原価 × 100 = 有形固定資産減価償却率[%]
【説明】「施設全体の減価償却の状況」
有形固定資産のうち償却対象資産の減価償却がどの程度進んでいるかを表す指標で、資産の
老朽化度合を示しています。
明確な数値基準はありませんが、一般的には数値が 100%に近いほど保有資産が法定耐用年 数に近づいていることを示しており、将来の施設の更新等の必要性が推測されます。
【分析】
有形固定資産減価償却率は償却対象資産の老朽化度合を示しますが、明確な数値基準はあり
ません。
有形固定資産全体の老朽化度合は類似団体平均値よりも低い状況ですが、資産の多くを占め
る管路の減価償却が進み、その差は年々縮小しています。
グラフ凡例
■ いわき市の比率(当該値)
- 類似団体平均値(平均値)
平成26年度全国平均値
【46.31】 有形固定資産減価償却率(%)
「
施
設
全
体
の
減
価
償
却
の
状
況
」
②
管路経年化率
【算出式】
法定耐用年数を経過した管路延長 / 管路延長 × 100 = 管路経年化率[%]
【説明】「管路の経年化の状況」
法定耐用年数を超えた管路延長の割合を表す指標で、管路の老朽化度合を示しています。
一般的に、数値が高い場合は法定耐用年数を経過した管路を多く保有しており、管路の更新
等の必要性が推測されます。
【分析】
管路経年化率は管路延長から見た管路の老朽化度合を示しますが、明確な数値基準はありま
せん。
管路の老朽化度合は、類似団体平均値より低い状況でしたが、平成 25 年度からは同平均値
よりも高い状況になり、その差は広がりつつあります。
グラフ凡例
■ いわき市の比率(当該値)
- 類似団体平均値(平均値)
管路経年化率(%) 平成26年度全国平均値
【12.42】
「
管
路
の
経
年
化
の
状
況
」
③
管路更新率
【算出式】
当該年度に更新した管路延長 / 管路延長 × 100 = 管路更新率[%]
【説明】「管路の更新投資の実施の状況」
当該年度に更新した管路延長の割合を表す指標で、管路の更新ペースや状況を把握できます。
明確な数値基準はないと考えられますが、数値が1%の場合、すべての管路を更新するのに
100年かかる更新ペースであることを意味しています。
【分析】
管路更新率は管路の更新のペースを示しますが、明確な数値基準はありません。
期間を通じ類似団体平均値よりも低い状況が続いています。更新率を上げる必要があります
が、震災に伴う復旧・復興関連事業を優先させていることから、震災後も低い数値で推移して
いる現状にあります。
グラフ凡例
■ いわき市の比率(当該値)
- 類似団体平均値(平均値)
平成26年度全国平均値
【0.78】 管路更新率(%)
「
管
路
の
更
新
投
資
の
実
施
状
況
」
3
分析の全体総括
【経営の健全性・効率性について】
経常収支比率は類似団体平均値を上回っていますが、同平均値を上回る企業債残高対給水収
益比率を改善するため、企業債残高を縮減していきます。
また、施設利用率や有収率は同平均値を下回っているため、ダウンサイジング等の対策を進
め、給水原価の上昇を抑えていきます。
【老朽化の状況について】
有形固定資産減価償却率は類似団体平均値を下回っているものの、管路経年化率は逆に高い
状況にあります。
このため、東日本大震災の復旧関連事業に優先的に取り組んでいることから、同平均値より
も低い状況にある管路更新率について、可能な限り引き上げていきます。
【まとめ】
広域で起伏に富む地勢、中小河川への依存など、効率的な運営が難しい中、昭和41年のいわ
き市誕生後、昭和 44年に事業創設の認可を受け、施設統合や拡張事業を実施しており、今後、
これらの更新需要が増大してきます。
このため、アセットマネジメントの取組として、施設の「再構築」「更新」「耐震化」の長期(40
年)計画を策定したところであり、平成28年度には、具体の事務事業を盛り込んだ 10年間の
経営計画(平成29年度~平成38年度)を策定し、対策を講じていきます。